(1)は、日記、蔵書の書き込み、無署名の書評まで読み込み、民俗学者宮本常一の生き様を複層的に描く。宮本は周防大島に生まれ、大阪で教師として働き、全国をくまなく歩いたことで、東京中心の学問を疑問視し「傍流でよく状況を見ていく」視点を得た。興味深いのはかれを磁場とした、戦後思想史の多様な広がりだ。藤田省三や森崎和江による批判から、島尾敏雄のヤポネシア論や司馬遼太郎へのひそかな影響、はては宮崎駿やスピッ ...